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によって Andrew Ingold

Head Kore 94 Ti レビュー

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概要と対象スキーヤー

Head Kore 94 Ti(2025/2026)は、整地のカービングからオフピステの荒れ雪まで一台でこなしたい上級者に向けた本格オールマウンテン/フリーライドモデルです。従来の軽量なKoreに比べてTitanalを2層追加し、しなやかさを損なわずに減衰性と安定性を大幅に強化。精密で信頼感のある乗り味に仕上がっています。

雪上でのフィーリング

雪上フィールは直感的。ティップ&テールロッカーでターン導入と抜けがスムーズ、足元のキャンバーがエッジグリップと反発を生みます。94 mmウエストとしてはエッジ切り替えが俊敏で、荷重すればしっかり支え、スラッシュやピボットも引っかかりにくいニュートラルな性格です。

整地とカービング性能

整地では中~大回りが得意。高いねじり剛性とTitanalの減衰で、スピード域を上げてもエッジホールドと落ち着きが持続します。ターン後半のリバウンドも明快。88~90 mmクラスの細身カーバーほどクイックではないものの、硬い路面や荒れたバーンでの安心感は上回ります。

オフピステと不整地

オフピステでは94 mmの幅が膝下程度までの新雪に十分な浮力を与え、適度なティップロッカーとコシのあるショベルがウィンドパックや荒れ雪でもラインを維持。林間やコブでも扱いやすく、素早い方向転換が可能。テールは十分な支えがあり、極端にタイトな急コブでは後傾になるとやや強さを感じることがあります。

安定性と振動吸収

Titanal二層にGraphene、麻/リネン層の組み合わせが高周波の振動を抑え、スピードリミットを引き上げます。177 cmで1本約1905 gと、このクラスでは程よい重量。バタつきを抑える質量を持ちながら、鈍重さは感じません。超軽量の山スキーではない一方、午後の荒れも力強く突き進みます。

構造のハイライト

Karuba/ブナ芯材のフリーライド・サンドイッチキャップ構造は耐久性と反発に優れた骨格。Grapheneは強度対重量比を高め、麻/リネン層が硬い雪面でのビビりを低減。Structured UHM Cベースは滑走性と耐摩耗性に優れ、ハイブリッドトップシートは欠けに強くプラスチック使用量も抑えます。

主要スペックと意味

ロッカープロファイル:ティップ&テールロッカー+キャンバー(rocker/camber/rocker)は、寛容な導入とクリーンな抜け、傾けた時の確かなグリップを両立。サイズ別サイドカットは156 cmで127‑91‑113 mmから191 cmで133‑96‑118 mmへと拡幅し、長くなるほど安定感と浮力が増します。回転半径は12.7 m(156)~19.2 m(191)、177 cmで16.3 m。短いほどクイック、長いほど安定志向。重量は177 cmで約1905 g/本。長さは156/163/170/177/184/191 cm。Structured UHM Cベースは滑りと耐久を後押しします。

長さ選びとマウント位置

上級者で攻めるタイプなら実寸か一つ長め。サイズ間で迷うなら、軽量/テクニカルで林間・細かいコブが多い人は短め、オープンバーンでスピード重視や体格が大きい人は長めが◎。推奨マウントはバランス良好。+1 cmで小回りやツリーが軽快に、−1 cmで高速安定とティップのドライブ感が増します。

比較すべきモデル

比較候補:Nordica Enforcer 94は重くどっしり、Kore 94 Tiは軽くて素早い。Blizzard Rustler 9(96 mm)はより遊べて柔らかいテール、Koreは精密で食いつき良好。Atomic Maverick 95 Tiは減衰が近くややルーズなティップ、Koreはエッジ上でより正確。Salomon QST 92/98は寛容だがエッジの粘りはKoreに一歩譲る。Völkl Mantra M6(96)は強力・剛性高め、Koreはより軽快。

留意すべき短所

留意点:本当に深いパウダーでは浮力は専用機に劣る/タイトなコブでテールが強めに出ることがある/スピードと良いチューンで持ち味が際立つ。初心者やゆったり派には、よりソフトで軽い非Ti系のオールマウンテンが合うでしょう。

まとめ

朝のハードパック、午後の荒れ、そして新雪まで一台で任せたいならHead Kore 94 Tiは有力候補。現代的な減衰と安定性に、山全体を楽しめるだけの俊敏さを兼備—上級者の自信を高める精密なオールマウンテンです。