Extrem Factory 112 レビュー

Extrem Factory 112 は、ビッグマウンテン／フリーライド志向の現代的な一台。プログレッシブなロッカー、ポプラウッドコア、足下のチタナル“アロー”補強が相まって、硬いバーンでのエッジホールド、柔らかい雪での高い浮力、荒れた雪面での落ち着きをバランス良く実現します。Åre 製造、グラファイト配合の高速ソールと極厚エッジ／ワイドなサイドウォールで耐久性も万全です。

主要な設計ポイント

洗練されたプログレッシブロッカー：オンピステでの入りが軽く、パウダーでしっかり浮き、ハードパックでもエッジが噛む。
ポプラコア＋0.4 mm チタナルストリンガー（足下）：反発が軽快になり、加速時や高速域での安定感が増す。
ダンピング：ノーズ／テールのレースラバー＋内部ラバーフォイルが振動を抑制。
プリプレグファイバー（HexPly）：均一な含浸で安定したフレックスと強度。
耐久仕様：高密度ベース、極厚エッジ、ワイドABSサイドウォール。
工場チューン：88°/1.5°で素早いエッジ噛みと正確なタッチ。

雪上でのパフォーマンス

パウダー／軟雪：111–112 mm ウエストとロッカーでノーズが楽に浮上。フォールラインのサーフィーな動きも安心して踏み込めます。
整地／ハードパック：幅の割にカービング性能は良好。チタナルとダンピングが握りを安定させ、中〜大回りが得意です。
荒れ・食われ：直進安定性と懐の深さが光る。重量はここでプラスに働き、落ち着きがありつつ鈍重にならない。
ツリー／コブ：112 mmにしては小回りしやすく、素直なラウンドフレックスで操作はしやすい。コブ専用ではないが、能動的なスタンスなら十分こなせます。
エア／着地：ディレクショナルなテールは着地が安定。ナチュラルヒットで十分なポップがあり、バター系ツインほどルーズではないが自信を持って踏み切れる。

スペックと意味

長さ：185 / 193 cm – 長いほど高速安定と浮力、短いほど取り回しとピボット性が高い。
サイドカット：142/111/131 mm（185）、143/112/132 mm（193） – 幅と形状は浮力（広いほど）とターン導入（ノーズ/テール形状）に影響。
回転半径：20.5 m（185）/ 22 m（193） – 中〜大回り、高速域での安定に最適。
重量（1本）：2125 g（185）/ 2325 g（193） – やや重めで、荒れ面のダンピングに優れる。登り重視ではない。
ロッカープロファイル：エッジホールドを残したプログレッシブロッカー – 取り回しと浮力を得つつ、足下は安心感。
推奨取付位置：トゥルーセンターから −80 mm（185） – パワーと安定を重視したディレクショナル。
工場エッジ：88°/1.5° – 硬い雪でのシャープな噛み。

セットアップ／ビンディング／チューン

ビンディング：フリーライド／アルペン系の堅牢モデルが相性良し。
取付位置：まずは推奨ライン（−80 mm）。やや遊びを出すなら +0.5〜+1 cm、最大の安定重視なら推奨〜−0.5 cm。
チューン：標準の 88°/1.5°はグリップ良好。ハードパック主体ならノーズ／テールの軽いデチューンで導入が滑らかに。

サイズ選び

メーカー推奨：身長同等〜やや長め。
目安：185 cm＝ツリーやタイトな地形での小回り重視、193 cm＝開けた斜面や高速域重視。

比較

Nordica Enforcer 110 Free：より重く超安定な氷上性能。Factory 112 はより軽快で、荒れ雪での安定感は同等。
Black Crows Anima：ルーズでサーフィー。Factory 112 はピステでの精度とエッジホールドが優位。
Blizzard Cochise 106：細めでアイスに強いディレクショナルチャージャー。Factory 112 は浮力が大きく、オフピステで親しみやすい。
Salomon QST 106/110：軽量で扱いやすい。Factory 112 は高速安定と剛性感が上。

こんな人に向く／向かない

向く：上級〜エキスパートのフリーライダー。安定性と精度を求めつつ、地形を使って遊べるだけの軽快さも欲しい人。
向かない：主に整地の中級者、センター寄りの超ルーズなフリースタイル感を求める人、超軽量登高を最優先する人。

要点まとめ

チャージャー級の安定：ダンピング＋チタナルで高速でも落ち着く。
十分な軽快さ：ロッカーとポプラコアでポップとピボット性。
高耐久：厚いエッジ、強いサイドウォール、高速ソール。
幅／半径の性格：パウダーと荒れ面に強く、氷結コブは得意ではない。

よくある質問

Q: Extrem Factory 112 の長さはどれを選ぶべき？
A: タイトな地形やツリー重視なら 185 cm、開けた斜面でスピード重視なら 193 cm。メーカーは身長同等〜長めを推奨しています。

Q: 整地での Extrem Factory 112 の性能は？
A: 112 mmとしては良好。88°/1.5°のエッジ、チタナル、ダンピングで握りは強い。小回りより中〜大回りが得意です。

Q: Extrem Factory 112 は 1 本で万能になれる？
A: 降雪の多いエリアでオフピステ中心なら可能。整地主体や固い雪が多い環境では 100–106 mm のオールマウンテンの方が汎用性は高いです。

Q: 遊び系のパウダーツインと何が違う？
A: Factory 112 はよりディレクショナルで精密、高速でも安定。ポップはあるが、センターマウントの超サーフィーな“ルーズ感”は控えめです。