ワールドカップのスキー板に初めて重量制限が導入されました。市販のスキーと比べるとこう違います

ワールドカップで使われるスキーに、初めて重量の上限が設けられました。2026/27シーズンのFIS用具規定では、スキー本体、レース用プレート、ビンディングをすべて組み付けた状態のスキー1本を計量し、男子の滑降用スキーでは最大5.3kgまでと定めています。昨シーズンまで、重量の制限は一切ありませんでした。新ルールのもとで行われる最初のワールドカップのレースは、10月24日(土)にゼルデンで開催される女子大回転です。
FISは、スキーが軽くなればレースはより安全になると説明しています。一方で、一部の選手やスキーメーカーは納得していません。本記事では、新しい上限を当サイトのカタログに掲載しているスキーと比較しました。あわせて、スキーを買うときに重さが何を意味するのかを解説します。
新しい重量制限
上限はスキー1本あたりの重さで、プレートとビンディングを含みます。
| 種目 | 女子 | 男子 |
|---|---|---|
| 滑降 | 5.2kg | 5.3kg |
| スーパーG | 5.0kg | 5.1kg |
| 大回転 | 4.9kg | 5.1kg |
| 回転 | 4.5kg | 4.6kg |
- 一部の報道では、滑降用スキーについて10.6kgという数字が伝えられました。これは2本1組(ペア)の重さです。
- ルールブックには、わずかな計測許容差も定められています。許容差は50gで、2026/27シーズンの滑降とスーパーGでは300gです。
- 同じ上限が、ワールドカップから下位のFISレースまで適用されます。U14、U16、マスターズのレースには重量制限がありません。
重さはどこから来るのか
レース用のセットアップは、スキー本体だけではありません。Markerの2026/27カタログには、高速系種目向けのワールドカップ用プレートであるAlu Plate Proが850g、同社最上位のレース用ビンディングであるComp 30 RDが1,380gと記載されています。いずれもスキー1本あたりの重さです。スキー本体を含めないうちから、合計2.23kgになります。
また、このビンディングの解放値は最大でDIN 30です。当サイトのカタログにある一般的なアルペンビンディングでは、上限は12です。
選手が重いスキーを求める理由
理由は物理にあります。重いスキーほど慣性が大きいため、同じ凹凸を受けてもラインから外れにくくなります。質量が大きければ振動も吸収しやすく、エッジが氷をとらえ続けます。レース用プレートはこの効果をさらに強めます。ブーツを持ち上げてテコの力を大きくし、重さも加えるからです。規定では、ブーツの高さは雪面から50mmまでに制限されています。
新ルールを最も声高に批判しているのが、2026年冬季オリンピックの滑降金メダリスト、ブリージー・ジョンソン(Breezy Johnson)です。体重は81kgを超えている、と本人は書いています。自身のブログでは「私の体重がかかると、軽いスキーは高速で凹凸を越えるときに激しく波打ち、ばたついてしまう」とつづっています。彼女によると、上限は自分のスキーの重さを数百グラム下回る水準に設定されています。
FISが軽いスキーを求める理由
スイス紙Blickによると、FISは安全上の理由から用具の重量を引き下げました。FISの専門家たちは、スキーが軽くなればこの競技はより安全になると確信しているといいます。この考え方自体は新しいものではありません。ザルツブルク大学がFISのために行った負傷に関する研究では、ある専門家が、用具を軽くすることは大きな前進になると述べています。いったんその質量が動き出すと、用具が制御の利かない独自の勢いを持ちかねないからだといいます。
メーカー側は納得していません。Rossignolのレーシングディレクター、ステファン・ムージャン(Stéphane Mougin)氏はBlickに対し、「現時点では、それを裏付ける研究はない」と語りました。さらに、足のすぐ下にある重さは選手が求める安定性をもたらしうるもので、より大きな問題はトップとテールにある重さだ、と付け加えています。Atomicのレーシングディレクター、クリスティアン・ヘフレーナー(Christian Höflehner)氏は、まずは確かな事実がほしいという立場です。ジョンソン自身も、裏付けとなる研究を持っていないことは認めています。ただ、FISも持っていない、と彼女は書いています。
過去の用具規定の例を見ても、結果はまちまちです。2012/13シーズンに新しいスキー規定が導入された後、FISの負傷データを調べた研究では、続く3シーズンで負傷が減ったのは男子だけで、女子では減っていませんでした。オーストリア代表チームの負傷データを調べた研究では、2007年と2012年の規定変更の後も有意な変化は見られませんでした。
スキーの変更を迫られたのは誰か
Blickによると、スイスのトップ選手が使うStöckli、Head、Rossignolのスキーは、昨冬の時点ですでに上限の範囲内でした。AtomicとSalomonは、一部のモデルを取り下げなければなりませんでした。
新ルールのもとで最初のワールドカップのレースが行われるのは、10月24日と25日のゼルデンです。最初の滑降はその後ビーバークリークで行われ、男子は12月3日、女子は12月11日です。
ワールドカップのスキーとあなたのスキーを並べると
男子大回転の規定を、当サイトのカタログのスキーと比較しました。各スキーとも、178cmに最も近い長さの値を使っています。
| 男子ワールドカップの大回転用スキー | 当サイトのカタログのスキー(約178cm) | |
|---|---|---|
| 長さ | 193〜200cm | (178cmで比較) |
| ラディウス(回転半径) | 30m以上 | 中央値17.5m(993モデル) |
| 足元の幅(ウエスト) | 65mm以下 | 中央値90mm(1,019モデル) |
| 1本あたりの重量 | プレートとビンディング込みで最大5.1kg | スキー本体の中央値1.82kg(834モデル)、これにビンディングが約1.1kg |
ワールドカップの大回転用スキーは、より長く、より細く、より直線的です。上限いっぱいの重さなら、1本あたり2kg以上重くなります。約178cmでラディウスが30m以上あるスキーは、当サイトのカタログに7モデルしかありません。
ビンディングの重さは、人気のアルペンビンディング4モデルについてメーカー自身が公表しているデータの範囲で、片足分あたり1,025g〜1,245gです(Tyrolia Attack 14 GW、Marker Griffon 13 MN、Look SPX 13 GW、Look Pivot 2.0 15 GW)。
ワールドカップのスキーは買えるのか
買えます。当サイトのカタログでは、9つのブランドがFIS規格の大回転用スキーを販売しています。
- Atomic Redster G9 FIS
- Augment FIS WC GS
- Dynastar Speed WC FIS GS
- Elan Ace GSX World Cup
- Fischer RC4 Worldcup GS
- Head WCR e-GS Rebel FIS
- Nordica Dobermann GS WC
- Van Deer GS World Cup
- Völkl Racetiger GS R WC FIS
30mのラディウスは、硬い雪の上で大きく速いターンをするためのものです。これらはレーサーのために作られたスキーです。
次のスキーはどのくらいの重さがよいのか
当サイトのカタログでは、約178cmの長さで、全スキーの半数が1.62〜2.00kgに収まります。4分の1は2kg以上で、15%は1.5kg未満です。
- 重めのスキーは、内部に金属が入っていることが多く、たいていは高速域や硬い雪の上で落ち着いた乗り味になります。
- 軽めのスキーは、少ない力でターンでき、疲れにくくなります。歩いて斜面を登るときに欲しいのも、軽いスキーです。
圧雪されたコースを速いスピードで滑るなら、重さを恐れる必要はありません。ゆっくり滑る人、1日の滑走時間が短い人、斜面を登ることがある人は、軽めのスキーを選びましょう。スキーセレクターなら、あなたの滑り方に合うスキーが見つかります。
出典
- FIS、Specifications for Alpine Competition Equipment、2026/2027年版(2026年10月)、および2025/26年版
- Blick、Neue FIS-Regel: Gewichts-Debatte vor Start der Ski-Saison(2026年10月8日、引用はドイツ語から翻訳)
- Breezy Johnson、Lighter Skis, a Targeted Rule, and the Athlete Caught in the Middle(2026年10月14日、引用は英語から翻訳)
- FIS Injury Surveillance System、ザルツブルク大学による研究報告書(引用はドイツ語から翻訳)
- Haalandほか、Injury rate and injury patterns in FIS World Cup Alpine skiing (2006–2015)、British Journal of Sports Medicine、2016年
- Platzerほか、Did injury incidence in alpine ski racing change after equipment regulations?、Journal of Science and Medicine in Sport、2021年
- Marker(2026/27年版製品カタログ)、Look(Pivot 2.0 15 GW、SPX 13 GW)、Tyrolia(Attack 14 GW)
- FIS 2026/27シーズン レースカレンダー(男子、女子)
- Pick-A-Skiカタログ(178cmに最も近い長さでの中央値、2026年10月時点)
本記事は、メーカーのデータと公開されている情報源を比較したものです。これらのスキーのテストは行っていません。本記事について、どのブランドからも報酬は受け取っていません。ショップへのリンクやパートナーカードなど、Pick-A-Skiの一部のリンクからは、当サイトに手数料が入ることがあります。
